みなさんは『凍み大根(しみだいこん)』と言う食べ物をご存知ですか?
凍み大根は寒さが厳しい雪国の保存食として考えられた食べ物で大根を軒下に干して乾燥させたものです。その凍み大根が持っている栄養が最近注目されています。ここでは、凍み大根の作り方や栄養について紹介しています。
凍み大根の作り方
凍大根を良く食べているのが日本一の長寿県としてすっかり有名になった長野県の北信にある飯山市。
凍大根は厳しい寒さを利用してつくられますが、飯山市は新潟県の県境に位置していて長野県でも雪が多く寒さが厳しく2月の最低気温が-15℃を下回る日もある厳寒の地域。凍み大根などの乾物を作るにはピッタリの環境なんです。
その気候を利用して飯山市では昔から冬の季節になると多くの家では大根を軒下に吊るして凍み大根がつくられてきました。では、どのようにして作られているのか紹介します。
【凍み大根の作り方】
- 大根の皮をむき大きさを揃えて輪切りにします。
- それを箸が通るくらいまで茹でます。
- 茹でた大根を冷ましたら、中央に藁が通るくらいの穴を開けて藁を通します。
- それを直射日光の当たらない軒下に吊るします。
- 凍って乾いて、凍って乾いてを繰り返しカラカラに干しあがったら完成です。
凍み大根の栄養効果
凍み大根を作るためには大根を凍らせて溶かします。これを何回も繰り返して乾燥させる過程が凍み大根の栄養価を高めるポイントです。実は、これ天然のフリーズドライなんです。
野菜には細胞壁と言う壁があり、それが野菜の栄養の吸収を妨げているんです。そこで、野菜を乾燥させると栄養の吸収を遮っている細胞壁が壊れます。すると栄養素が腸管から吸収しやすくなるんです。
この凍み大根の栄養に注目しているのが健康長寿の関係を30年以上研究している世界的権威。武庫川女子大学 国際健康開発研究所の家森幸男所長。
家森所長は、WHOと協力してアフリカのマサイ族や中国など世界の長寿で知られる世界61の国を訪れ地域の食生活を分析されてきた食べ物についての専門家。
家森所長の話によると、凍み大根にはいろんな栄養が含まれていますが、特に注目はカリウムが豊富に含まれている点です。カリウムは塩分を体内から出してくれる働きをします。近年は塩分の摂り過ぎに注意するようにメディアでも特集が組まれたりしています。塩分の摂り過ぎに役立ちそうですね。
その他にも凍み大根には、悪玉コレステロールの吸収を抑えてくれる食物繊維が生の大根の16倍含まれています。
また、大根を乾燥させると女性が不足しがちと言われている鉄分がアップします。実は鉄分は吸収しにくい栄養素なので凍み大根を活用すると貧血予防につながります。そのほかのも、ビタミンB1、ビタミンB2は30倍に増えるので美肌にも期待できるんです。
【生の大根と凍み大根の100gあたりの栄養比較】
- 塩分を出してくれる働きがあるカリウムは、生の大根が230mgに対して凍み大根は3500mgの何と15倍。
- 女性が不足している鉄分は生の大根が0,2mgに対して凍み大根は3,1mgの何と16倍。
- カルシウムも生の大根が23mgに対して凍み大根は500mgの何と22倍。
大根を乾燥させて作る凍み大根は、寒い地域でないと上手に作ることができません。長野県の道の駅や通販で購入することができるのでぜひ活用してみてはいかがでしょうか。煮物にすると美味しいと評判です。